投資信託の利益にかかる税金とは?確定申告は必要?非課税になる方法もある?

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#税金

公開日:2024/12/27 更新日:2024/12/27

 

効率的に投資を行うには、投資にかかる税金について理解することが不可欠です。確定申告の必要性も、どのような投資手法を選んでいるかによって異なります。税金についての知識がないままでは、本来よりも多く税金を支払ってしまうこともあります。

この記事では、投資信託に関連する税金や確定申告について詳しく解説します。

 

もくじ

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投資信託で生じた利益には20.315%の税金がかかる

投資信託の利益は、原則として20.315%の税率で課税されます。内訳は、所得税15%、住民税5%、および2037年まで適用される復興特別所得税0.315%(所得税額の2.1%)です。

この税率は、投資信託の分配金を受け取った場合や、売却・償還により利益が確定した場合に適用されます。

 

分配金とは

投資信託では、運用で得た利益の一部を「分配金」として投資家に還元する場合があります。分配金があるかどうかは、投資信託によって異なります。分配金が出ない投資信託では、利益はそのまま運用資産に組み込まれてさらに運用されます。

分配金には主に「普通分配金」と「特別分配金(元本払戻金)」の2種類があります。

普通分配金は、運用によって得た利益から支払われ、課税対象になります。これは、元本を上回る利益から支払われるためです。一方、特別分配金(元本払戻金)は、利益ではなく元本の一部が払い戻されるものです。

別分配金は利益ではないため課税されませんが、その分だけ基準価額が下がり、運用に使える資金も減少します。

分配金_東海東京証券

(出典)投資信託の収益分配金に関するご説明|東海東京証券

 

譲渡益とは

譲渡益とは、投資信託を売却(解約)した際に、購入時よりも高く売れた場合に得られる利益のことです。売却時の価格が購入時の価格を上回った場合、その差額が譲渡益となり、この利益は課税対象になります。

譲渡益にかかる税金は、以下の式で求めます。

 

譲渡益の税額 = (売却価格 − (購入価格+売却手数料))× 20.315%

 

つまり、投資信託の売却で得た金額から、購入時の価格や売却時の手数料を引いた金額に税率をかけたものが、譲渡益に対する税金となります。

 

投資信託で利益が出たら確定申告が必要?

投資信託で得た利益(分配金や譲渡益)は、他の所得とは別に税額を計算する「申告分離課税」の対象です。そのため、投資信託で利益が出た場合、基本的には確定申告が必要となります。

ただし、一定の条件を満たす場合は、投資信託で得た利益があっても確定申告をしなくてもよい場合があります。

 

投資信託で利益が出ても確定申告が不要なケース

投資信託で得た利益でも、以下で解説する条件を満たしていれば確定申告をする必要はありません。

 

源泉徴収ありの特定口座を利用している

特定口座(源泉徴収あり)を利用すると、分配金や譲渡益にかかる税金が自動的に計算され、証券会社が納税を代行します。これにより、投資家自身が税金を計算して確定申告する手間が省け、非常に便利です。

さらに、その年の損益を通算して税金が調整されるため、損失が出た場合でも税金の一部が還付されることがあります。

したがって、特別な理由がない限り、初心者の方は特定口座(源泉徴収あり)の利用がおすすめです。税金の手続きを大幅に簡略化できます。

 

NISA口座、iDeCo口座を利用している

 NISA口座やiDeCo口座を活用すれば、非課税で運用できます。例えば、NISA口座で100万円を運用し、10万円の利益が出たとしても、その利益は非課税となるため、確定申告をする必要はありません。

また、iDeCo口座での運用中に得た利益も非課税なので、確定申告は不要です。ただし、iDeCoは60歳以降に退職所得控除や公的年金等控除を超える金額を受け取る場合、課税対象となり、確定申告が必要になることがあります。

 

課税口座で得た利益が年間20万円以下だった

投資信託に限らず、投資の利益や副業など、給与所得や退職所得以外の所得金額の合計が年間で20万円以下であれば、「申告不要制度」が適用され、基本的には確定申告は不要です。

ただし、この場合でも住民税の申告は別途必要です。また、医療費控除やふるさと納税、初年度適用の住宅ローン控除がある場合には、投資信託の利益が20万円以下であっても、確定申告を行う必要があります。

つまり、投資信託での利益が年間20万円以下でも、個々の状況に応じて申告が必要になる場合があるため、注意が必要です。

 

投資信託の利益を確定申告すべきケース

投資信託の利益について、確定申告が必要になるケースがあります。申告が必要かどうかは、他の所得の状況や各種控除を活用したいかどうか希望によって異なります。

 

特定口座(源泉徴収あり)以外を利用している

前述の通り、特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、税金は自動的に差し引かれるため、確定申告は不要です。

一方、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座を利用している場合、投資信託で得た利益について確定申告を行い、税金を納める必要があります。この場合、売却益や分配金などを申告書に記載します。

 

損益通算したい

損益通算をしたい場合には確定申告で「申告分離課税」を選択することが必要です。損益通算とは、投資信託や株式、債券などで得た損益を相殺する制度です。日本株や外国株、ETF、J-REITなども対象となります。

特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、その年(1月1日~12月31日)の取引は自動的に損益通算されるため、通常は申告の必要はありません。

しかし、他の金融機関で発生した損益と通算したい場合や、通算しきれなかった損失を翌年以降に繰り越す場合も確定申告が必要です。

 

損失の繰越を行いたい

投資信託を売却して損失が出た場合、その年の利益だけでは損失を相殺しきれないことがあります。その場合、相殺しきれなかった損失は翌年以降に繰り越して、将来の利益から差し引くことが可能です。

例えば、1年目に50万円の利益と100万円の損失が出た場合、損益通算により50万円の利益が相殺され、残りの50万円の損失が翌年以降に繰り越されます。この損失は最長3年間繰り越すことができ、将来の利益と相殺することで、節税効果を期待できます。

ただし、損失を繰り越す場合、利益がない年でも確定申告を行う必要があるため、その点には注意が必要です。

損失繰越_国税庁

(出典)株式・配当・利子と税|国税庁

 

配当控除を受けたい

投資信託や株式から受け取る分配金、配当金は配当所得に分類されます。配当所得がある場合、確定申告で「総合課税」を選択すると配当控除を受けることができます。

配当金は法人が得た利益を分配するものですが、法人税がすでに課税された後の利益から支払われます。そのため、配当金に対して再び課税するのは二重課税になるため、これを調整するために配当控除が設けられています。

配当控除は、1年間の課税所得の合計が1,000万円以下の場合、所得税では配当所得の10%、住民税では2.8%が控除されます。課税所得が1,000万円を超えると、超えた分については、所得税で5%、住民税で1.4%が控除対象となります。

総合課税を選択した場合の所得税・住民税と配当控除率は以下の通りです。
  所得税 住民税
税率※1 配当控除率 税率 配当控除率
国内株式 5~45% 10% 10% 2.8%
株式投資信託 5% 1.4%
(※1)復興特別所得税を除きます
 

配当控除を利用するには確定申告が必要ですが、場合によっては「総合課税」よりも「申告分離課税」のほうが有利になることもあります。自分の所得状況に応じて、どちらが適しているかを判断することが大切です。

 

税金は「知らなかった」ではすまない

投資を行う上で、税金に関する知識は非常に重要です。損失の繰り越しや配当控除をうまく活用すれば、確定申告を通じて節税効果を得られます。

また、ある程度の税務知識を持つことで、余分な税金を納めることを避けられるかもしれません。税金について知らなかったとしても、税務署は見逃してくれないため、正しい理解が大切です。

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