投資を始める前に必要な「生活防衛資金」はいくら?世帯別の目安額を紹介

#生活防衛資金

公開日:2024/12/20 更新日:2024/12/20

 

投資を始める前に、まずは生活防衛資金の準備が大切です。生活防衛資金とは、失業や病気、災害などの予期せぬ事態に備えて、生活費として使える資金のことを指します。

目安となる金額は人によって異なりますが、適切な金額を確保しておくことで、投資に集中できる環境が整います。

本記事では、世帯別の生活防衛資金の目安額やその貯め方などについて詳しく解説します。

 

もくじ

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生活防衛資金とは?どうして必要?

生活防衛資金とは、万が一の事態に備えて、生活費を賄うために準備しておく資金のことです。投資を始める前に、まずは生活防衛資金を確保することが重要です。では、なぜこの資金が必要なのか、その理由を詳しく見ていきましょう。

 

生活防衛資金とは?貯金との違い

前述の通り、生活防衛資金は万が一の緊急事態に備え、すぐに使える生活費としての役割を果たします。一方、貯金は老後の生活や住宅購入など、将来のライフイベントに備えるためのお金です。

そのため、生活防衛資金と貯金は目的ごとに区別して、それぞれ適切に準備することが大切です。生活防衛資金に関しては、月々の生活費を基準にして、必要な金額を事前に確保しておくことをおすすめします。

 

投資を始める前に生活防衛資金を用意すべき理由

投資を始める前に生活防衛資金を用意すべき理由は、投資によるリスクから生活資金を守るためです。特に初心者の方のなかには、投資にのめり込み、当初予定していた以上の資金を投資に回してしまうケースがあります。

投資で損失を出すと、その損失を取り戻そうとさらに投資を重ね、最終的には生活費にまで手を出してしまうこともあります。そうなると生活が苦しくなり、経済的危機を招きかねません。

このような状況を避けるために、まずは生活防衛資金を確保し、病気や失業、災害などの緊急時でも、一定期間は生活を維持できる状態を整えることが重要です。

無謀な投資によるリスクを回避するためにも、投資を始める前に生活防衛資金をしっかりと準備しましょう。

 

生活防衛資金はいくら必要?世帯別の目安

生活防衛資金の必要額は、その人の職業や家族構成などによって異なります。今回は、主に現役会社員世帯のケースでの目安を解説します。みなさんの職業やライフステージなどによって必要額は異なりますが、不測の事態や経済状況の変化に備えるために、ご参考になさってください。

 

一般的には生活費の3か月~6か月分

生活防衛資金の目安は、生活費の3か月分から6か月分が一般的です。これは、雇用保険の給付制限期間と関係しています。

具体的には、自己都合で退職した場合、雇用保険の基本手当(失業保険)の受給開始までに2~3か月の給付制限期間があることから、その間の生活費を確保しておく必要があります。さらに、給付額は通常、退職前の給料の50~80%程度であるため、最低でも3か月分、理想的には6か月分の生活費を準備することが推奨されています。

ただし、2025年4月から改正雇用保険法が施行され、待機期間が短縮されるなどの変更が行われるため、この目安も変わる可能性があります。

 

独身の場合も3か月~6か月分

独身の場合、生活防衛資金として単身世帯の生活費の3か月分から6か月分を確保することが推奨されています。

総務省の「家計調査 2024年(令和6年)7~9月期平均」によると、単身世帯(勤労世帯)の1か月あたりの平均消費支出は16万3,286円でした。

3か月分なら48万9,858円、6か月分なら97万9,716円の計算になるため、独身者の場合は50万円から100万円程度を確保しておくと安心といえます。

 

夫婦2人の場合も3か月~6か月分

DINKs世帯(夫婦2人世帯・共働き・子どもなし)の場合も、生活費の3か月分から6か月分を確保しておくことが推奨されます。

同じく「家計調査 2024年(令和6年)7~9月期平均」によると、2人以上世帯(勤労世帯)の1か月あたりの平均消費支出は29万2,127円でした。

3か月分なら87万6,381円、6か月分なら175万2,762円の計算になるため、夫婦2人の場合は100万円弱から200万円弱が生活防衛資金の目安になるでしょう。

 

夫婦で子ども1人がいる場合は6か月~1年分

子育て世帯の場合、生活防衛資金として生活費の6か月分から1年分を確保することが推奨されます。世帯主に何かあった場合のリスクや子どもの教育費などを考慮し、独身やDINKs世帯よりも多めの準備が必要です。

「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)」によると、共働き夫婦と未婚の子ども1人の3人世帯の1か月あたりの平均消費支出は35万6,748円でした。

6か月分なら214万488円、1年分なら428万976円になるため、3人家族の場合はおよそ200万円から450万円弱の生活防衛資金を確保しておくとよいでしょう。もちろん、子どもの人数が増えればそれに伴って生活費も増加するため、生活防衛資金の必要金額も増えます。

 

フリーランスは会社員以上の生活防衛資金が必要?

一般的に、会社員には年次有給休暇や傷病手当、失業手当などの各種社会保障制度があるため、3か月分から6か月分の生活費があれば一定の生活防衛が可能です。しかし、フリーランスはこうした保証が手薄いうえに、収入が自身のスキルや契約に依存しやすく、不安定になりがちです。

そのため、フリーランスの方は最低でも6か月分から1年分の生活費を確保しておくことが推奨されます。単身世帯であれば、1か月あたりの16万3,286円の6か月分で97万9,716円、1年分で195万9,432円なので、およそ100万円から200万円の生活防衛資金を確保することをおすすめします。

 

生活防衛資金はいらない?なくても困らない人とは

生活防衛資金の必要性は、個々人の収入状況や家庭環境によって大きく異なります。安定した収入源があったり、家族と支え合える環境が整っている方は、生活防衛資金がなくても大きな問題に直面することは少ないでしょう。

 

十分な貯蓄や潤沢な資産がある人

年単位で収入が途絶えても生活が成り立つだけの貯蓄や資産がある場合、生活防衛資金の確保を強く意識しなくてもあまり問題はないでしょう。

例えば、金融資産が1億円以上ある資産家であれば、収入が途絶えてもその資産を活用して生活費を賄える可能性があります。

ただし、いくら資産があっても、急な支出や想定外の事態に備えて、最低限の生活費を手元に確保しておくことは大切です。

 

流動性の高い資産を保有している人

生活防衛資金は必ずしも預貯金で保有する必要はありません。現金化できる投資信託や株式があれば、それを生活防衛資金と考えることもできます。

例えば、投資信託は約定日の2〜5営業日後で換金・出金が可能となるケースがほとんどです。国内株式は約定日から2営業日後に売却代金を受け取ることができます。流動性の高い資産があれば、預貯金で生活費の3か月分を保有する必要性が減るでしょう。

また、銘柄によって売却注文を出してから出金ができるまでの日数は異なりますので、保有銘柄の情報をよく確認することが必要です。

 

配当・利子収入などの不労所得が十分にある人

資産からの配当金や利子収入などの不労所得が十分にある方は、生活防衛資金を保有する必要性は低いでしょう。

例えば、年率3%の配当金がある株式で1億円運用して、年間約300万円の配当がある場合、約20%の税引き後で240万円程度の配当収入が得られます。家族が4人いたとしても、生活費の5~6か月分を賄えるほどの金額です。

もちろん、配当金の減額や金利変動などのリスクを考慮し、最低限の生活費を別途準備しておくとより安心です。

 

生活防衛資金を上手に貯める方法

生活防衛資金を効率的に貯めるには、無理のない範囲で計画的に貯蓄を行うことが重要です。定期的な積み立てや、収入の中から優先的に生活防衛資金を確保するなど、自分に合った貯蓄方法を見つけましょう。

 

毎月の固定費を見直す

無駄な支出を削減することも重要です。特に、毎月発生する家賃・水道光熱費・通信費・保険料といった固定費を見直してみましょう。

例えば、保険の保障内容が過度になっていないでしょうか。必要最小限の保障に見直すことで、毎月の支払いを減らせます。

意外と見落としがちなのが、サブスクリプションサービスです気づかないうちに無駄な支出が発生していることがあるため、使っていないサービスがないか定期的に見直し、不要なものは解約しましょう。

 

無理のない範囲で先取り貯金する

まず、定期的に積み立てる金額を設定しましょう。給料やボーナスなどの収入が入ったら、設定した金額を先に貯金に回し、残った金額で生活するように心がけます。収入から生活費を引いた残りを貯金しようとすると、お金が思うように残らず、目標額に達しないことがあるためです。

先取り貯金を実践することで、後回しにしがちな生活防衛資金の積み立ても着実に進められるでしょう。

ただし、生活防衛資金の目標額を設定する際は、無理のない範囲にすることが重要です。過度な貯蓄は、日々の生活に支障をきたす恐れがあります。自身の生活や余裕資金の状況と向き合いながら、計画的に生活防衛資金を貯めていきましょう。

 

収入アップを目指す

生活防衛資金の積み立てを加速させるために、収入を増やす方法を検討するのも1つの手です。現在の職場での昇進や昇給を目指すことはもちろん、転職や副業によって収入を増やす選択肢も考えられます。

とはいえ、生活防衛資金を貯めるためだけに、大きな変化を無理に加える必要はないでしょう。急いで収入アップを目指した結果、給与が良くても激務の企業に転職して生活の質が下がってしまっては意味がありません。

あくまでも自身の能力や適性、ライフスタイルに合った形で、収入を増やしていける方法が理想的です。例えば、専門性を活かせる副業や、趣味感覚でできるポイ活などを通じて少額から稼ぎ、収入源を増やす経験を積むのもよいでしょう。

 

生活防衛資金が貯まったらどこに預ける?

生活防衛資金を着実に貯められたら、次はその資金をどのように管理するかを検討します。資産の安全性や現金化のしやすさを基準に預け先を選びましょう。

 

元本保証の定期預金

生活防衛資金は、万が一のときに備える予備資金のため、元本保証がある金融商品で保有するのがおすすめです。定期預金は、資産の目減りリスクが低く、緊急時にすぐ引き出せるという利点があります。

定期預金は中途解約が可能とはいえ、基本的には満期まで解約しないことが一般的です。生活防衛資金は通常時には使わないことを前提とした資金なので、定期預金は適した選択肢といえます。

生活防衛資金を他の貯蓄と明確に区別したい場合は、目的別の銀行口座を活用するのも良い方法です。銀行によっては、新たに口座を開設せずに、名目ごとに複数のサブ口座を管理でき、資金管理がしやすくなります。

 

NISA口座は相性が良くない?

生活防衛資金をNISA口座で運用したいと思う方がいるかもしれません。

しかし、NISAは長期的な資産形成を目的とした制度であり、投資には元本割れのリスクが伴うため、突発的な出費に対応するための資金としては適していません。

やはり、生活防衛資金の預け先は元本保証があり、即時に引き出せる定期預金や目的別の銀行口座などが望ましいといえます。

 

まとめ

生活防衛資金は、その名の通り、万が一の事態が起こった際に生活が破綻しないよう守るための資金です。必要な金額の目安はありますが、世帯構成や働き方に応じて異なります。一方で、現金化できる資産や安定した不労所得がある方は、無理に生活防衛資金を多く貯める必要はないでしょう。

生活防衛資金を効果的に貯めるためには、「収入を増やす」「支出を減らす」といった基本的な取り組みに加え、貯めやすい仕組みを作ることが重要です。あらかじめ貯金する金額を決めて、先取り貯金などの方法を活用すれば、目標額に到達しやすくなります。目標額に達した生活防衛資金は、緊急時に備えて定期預金などの安全な金融商品に預け入れておくとよいでしょう。

東海東京証券では、今後もお金の管理や投資に関する有益な情報をお届けしてまいります。引き続き、ブログやメルマガをご参考にしてください。

 

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