
旧NISA口座で投資した残高を非課税保有期間終了までに売却・再投資するには
#初心者向け
#資産運用
#NISA
公開日:2025/06/20 更新日:2025/06/20文/波多野 剛之
現在利用できるNISA制度は、2023年末までのNISA制度(旧NISA)から大幅な改正が行われ、2024年1月1日からスタートした新しいNISAです。
本記事では、旧NISAの基礎知識やどのように扱えばよいのかといった疑問に回答します。新しいNISAも上手に活用して、堅実な資産形成を行いましょう。
旧NISAの非課税保有期間はいつまで?
旧NISAには、一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISAの3種類があり、それぞれ非課税保有期間は異なります。まずは、非課税保有期間がどれだけあるのかを確認しましょう。
一般NISA・ジュニアNISAは購入後5年目の年末まで
一般NISAの制度概要は以下の通りです。
項目 |
内容 |
口座開設者 |
日本国内に居住する満18歳以上の人(2023年1月より前の場合は満20歳以上) |
年間投資枠 |
120万円(2014年・2015年分は100万円) |
非課税保有限度額 |
600万円 |
非課税保有期間 |
5年間 |
口座開設期間 |
2023年末まで |
投資対象商品 |
上場株式・公募投資信託など |
買付方法 |
積立・スポット購入両方可能 |
投資枠の再利用 |
不可 |
一般NISAの非課税保有期間は、株式や投資信託などの金融商品を購入した年から最長5年間です。一般NISA口座は2023年末まで開設可能で、金融商品の受渡日が2023年内の金融機関の最終営業日となる日まで購入できました。したがって、2023年内に一般NISA口座で購入した金融商品は、最長で2027年末まで保有できます。
ジュニアNISAの制度概要は以下の通りです。
項目 |
内容 |
口座開設者 |
日本国内に居住する満18歳未満の未成年者(2023年1月より前の場合は満20歳未満の未成年者) |
年間投資枠 |
80万円 |
非課税保有限度額 |
400万円 |
非課税保有期間 |
5年間(※非課税保有期間終了後、継続管理勘定に移管) |
口座開設期間 |
2023年末まで |
投資対象商品 |
上場株式・公募株式投資信託など |
買付方法 |
積立・スポット購入両方可能 |
投資枠の再利用 |
不可 |
ジュニアNISAは、未成年者向けの少額投資非課税制度です。2016年に開始され、口座開設は2023年末まで可能でした。
現在、新規の口座開設や購入はできませんが、2023年末までに開設されたジュニアNISA口座で保有する金融商品は、5年の非課税保有期間終了後、自動的に継続管理勘定に移管されます。原則として、口座開設者が18歳になるまで金融商品を非課税枠で保有できます。
また、2023年末の制度廃止に伴い、2024年以降は年齢や理由を問わず、一括払い出しが可能になりました。ただし、保有する金融商品の一部のみを払い出すことはできません。
払い出しが完了すると、ジュニアNISA口座は閉鎖されます。
つみたてNISAは購入後20年目の年末まで
つみたてNISAの制度概要は以下の通りです。
項目 |
内容 |
口座開設者 |
日本国内に居住する満18歳以上の人(2023年1月より前の場合は満20歳以上) |
年間投資枠 |
40万円 |
非課税保有限度額 |
800万円 |
非課税保有期間 |
20年間 |
口座開設期間 |
2023年末まで |
投資対象商品 |
一定の要件を備えた投資信託など |
買付方法 |
積立のみ |
投資枠の再利用 |
不可 |
つみたてNISAの非課税保有期間は、購入した年を含めて最長20年間です。2023年内につみたてNISAで金融商品を購入した場合、2042年まで非課税枠で運用できます。
旧NISAは全て、2024年以降は新規購入ができず、非課税保有期間が終了するまで保有が可能です。また、2024年以降に活用できる新NISAとは別の口座として管理されます。
放置?再投資? 旧NISA口座での購入分はどうすればよい?
旧NISAで保有する金融商品は、非課税保有期間が終了した後、新NISA口座に移管することはできません。
では、旧NISA口座で保有する資産はどうしたらよいでしょうか?
旧NISAの非課税保有期間終了後の選択肢は「非課税保有期間内の売却」か「課税口座への移管」の2つがあります。
非課税保有期間までに売却・再投資する
非課税保有期間内に売却すれば、売却益を非課税で受け取れます。売却のタイミングや売却額に制限はありませんが、受渡日が非課税保有期間内に設定されるよう、計画的に手続きを行う必要があります。受渡日が非課税保有期間を過ぎると課税対象となるため、余裕を持って売却注文を出しましょう。
売却後の資金の活用方法も考える必要があります。旧NISAを活用して得た利益を、旧NISAの成果として切り離して考えることもできますが、売却代金を新NISAの運用資金として活用するのも有用な選択肢です。
新NISAで運用するためには、旧NISA口座の金融商品を売却し、新NISA口座で新たに購入する必要があります。売却により、一時的に複利効果は途切れますが、新NISAでの運用を開始することで、再び非課税枠を活用した長期運用が可能になります。
放置して課税口座へ移管する
旧NISA口座で保有している金融商品は、非課税保有期間が終了すると自動的に特定口座などの課税口座に移管されます。課税口座に移管された後に生じた売却益や配当金・分配金などは課税対象です。
移管後の課税は、当初の取得単価ではなく、非課税保有期間終了時の時価を基準に計算されるため注意が必要です。
例えば、旧NISAで評価額50万円の株式が値下がりし、25万円(含み損25万円)になったとします。このタイミングで課税口座に移管され、その後、再び50万円に戻ってから売却した場合、取得単価は移管時の時価(25万円)を基準として計算されるため、25万円の利益が生じたとみなされ、含み益25万円に対して20.315%の税金がかかります。
このように、非課税保有期間終了後に移管された資産には思わぬ税負担が発生する可能性があります。
非課税保有期間が終わる年に該当する分だけを売却するには
旧NISA口座で保有する金融資産を売却する際、先入先出法(FIFO:First In, First Out)が適用されます。これは、取得日・取得時間の古い資産から順に自動的に売却処理が行われる方式です。
非課税保有期間が終了する預りの数量を指定して売却することにより、非課税保有期間が終了する預りのみ売却することが可能となります。(ただし、同一銘柄の一部の預りを、購入した年を指定して売却することはできません。)
つまり、特定の年に購入した分のみを売却したい場合、売却時に年ごとの数量を指定する必要があります。例えば、2020年に購入した分を売却したい場合、2020年購入分の株式の数量を指定して注文を出せば、その部分のみが先に売却されます。一方で、2020年分が残っている状態で2021年に購入した分から先に売却することはできません。
旧NISAと新NISAを別々の証券会社で運用できる?
NISA口座は、1人1口座しか保有できません。2023年末までに旧NISAの口座を開設していた場合、同じ金融機関で新NISAの口座が自動的に開設されるため、旧NISAとは別の金融機関で新NISAの口座を開設する場合は、NISA口座の変更手続きが必要です。
ただし、NISA口座の金融機関を変更する場合、以下のような制約があります。
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口座変更を希望する年の非課税枠を既に利用している場合は、その年はNISA口座の変更ができない
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移行期間中はNISA口座を利用できない
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口座変更は1年に1回のみ可能
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変更前の口座で保有していた商品は移管されず、元の金融機関で保有される
新NISAは非課税保有期間が無期限のため、口座を開設する金融機関は長期的に利用しやすいかどうかを見極めることが重要です。
旧NISAの非課税保有期間を有意義に生かそう
制度上、旧NISAで保有する資産を新NISAにそのまま移管することはできませんが、旧NISAは非課税保有期間が終了するまで非課税枠での運用が可能です。つみたてNISAの非課税保有期間は最長20年と長期にわたるため、その期間を有効に活用することが大切です。
旧NISAの非課税保有期間が終了後、資産を売却後新NISAの投資資金として活用することは、資産運用において有効な選択肢の一つです。ただし、売却のタイミングや手続きについては、事前に確認しておきましょう。手続きの具体的な方法が分わからない場合は、各金融機関のホームページを確認したり、相談窓口であるお客様サポートに問い合わせたりするのがおすすめです。
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