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投資における「リスク」と「リターン」の正しい理解と付き合い方

作成者: 阿部 司 |2025/05/09

 

投資では、リスクとリターンの特徴を正しく理解し、自身のリスク許容度に合わせた投資を行うことが重要です。特に、リスクを理解していないと、損失を被る可能性が高まります。

「リスクを知らないことが最大のリスク」とならないように、リスクとリターンの基本をしっかり学びましょう。

 

 

投資における「リスク」と「リターン」とは

リスクは「値動きの振れ幅」のこと

リスクは、リターンの不確実性のことで、価格変動の「振れ幅(ボラティリティ)」を指します。つまり、投資対象資産が下がるだけでなく、上がることもリスクの一種です。どれだけ大きく上下する可能性があるかがリスクの本質です。

したがって、「ノーリスクな商品」とは、価格が全く変動せず、上がりも下がりもしない商品を指します。言い換えれば、リターンも期待できないということです。投資においては、リスクを引き受けることでリターンを得られるのが基本的な仕組みです。

 

リターンは「得られる収益」のこと

リターンは、投資によって得られる収益のことです。例えば、株式を保有している場合、株価が上昇した際の売却益や、保有する株式から得られる配当金が該当します。

売却益は売却するタイミングによって収益額が変動し、配当金も企業の業績などによって増減するため、リターンは常に安定して得られるわけではありません。

 

投資におけるリスクの種類

投資を行うにあたり、投資対象のリスクの認識は欠かせません。リスクをどのように理解し管理するかは、投資成果に影響を及ぼします。ここでは、代表的なリスクを紹介します。

 

価格変動リスク

商品の価格は、景気動向や企業業績、相場などの影響を受けて日々変動します。この変動に伴うリスクが価格変動リスクです。

例えば、株式投資では企業の業績が悪化した場合、株価が下落することで、期待していたリターンを得られない可能性があります。

 

信用リスク(発行体リスク)

信用リスクとは、お金を借りた側が元本や利息の支払いを予定通りに行えなくなるリスクを指します。

例えば、企業が発行する債券(社債)に投資した場合、その企業が経営破綻すると、債券の元本や利息が支払われなくなる可能性があります。このように、信用リスクが顕在化すると、投資した金融商品の価格が大幅に下落し、結果として投資家は大きな損失を被ることになります。

信用リスクを管理するためには、発行体の信用力を十分に分析・評価することが欠かせません。リスクを最小限に抑えたい場合は、格付会社が出している信用格付などを参考にして、信用力の高い発行体を選ぶとよいでしょう。

 

為替変動リスク

為替変動リスクとは、外国為替相場の変動によって、外貨建ての金融商品の価格が変動するリスクを指します。これは、海外の金融商品に投資する際に避けられないリスクの一つです。

海外の株式や債券に投資した場合、購入時と売却時の為替レートが異なると、為替差益や為替差損が発生します。一般的に購入時より円高になると外貨建て商品の円換算価格が下がり、元本を割り込む可能性があります。一方、円安が進めば、期待以上の収益を得られる場合もあります。

また、海外の株式や債券を含む投資信託でも、基準価額は組み入れた資産の価格変動だけでなく、為替レートの影響を受けます。

 

カントリーリスク

カントリーリスクとは、投資対象となる国や地域の政治・経済・社会情勢の変化により、金融商品の価格が変動するリスクのことです。カントリーリスクは投資対象国の状況に依存し、大きな影響を及ぼす可能性があります。

例えば、海外の株式や債券に投資している場合、政情不安や経済危機がその国の金融市場を混乱させるため、投資した金融商品の価格が大幅に下落することがあります。

カントリーリスクの大きさは、金融商品の種類や地域によって異なります。一般的には、新興国の方が先進国よりもカントリーリスクが高いとされています。ただし、先進国でも特定の状況下ではリスクが高まる可能性があるため、注意が必要です。

 

流動性リスク

流動性リスクとは、売買の流動性が低い場合や、商品によって現金化できるタイミングが制限されている場合に、投資家が希望するタイミングで金融商品を売却できず、現金化できない可能性があることを指します。

例えば、株式投資において、大手企業の株式は市場での取引量が多く売買しやすい一方、中小企業の株式は取引量が少なく、希望するタイミングで売却が難しい場合があります。このような状況では、売却を急ぐと希望する価格で売れずに損失を被る可能性があります。

 

リスク・リターンの関係性

金融商品におけるリスク・リターン

一般的に、投資ではリスクが大きいほど得られる可能性のあるリターンも大きく、リスクが小さいほどリターンも控えめになる傾向があります。このため、「ハイリスク・ハイリターン」や「ローリスク・ローリターン」といった表現が用いられます。

主な金融商品のリスク・リターンは以下の通りです。

 

 

リスクとリターンの関係は表裏一体

リスクとリターンは密接に関係しており、どちらも切り離せません。リスクを避けて大きな収益を得ることはとても難しいとされ、「ローリスク・ハイリターン」のような条件を満たす金融商品は非常に稀です。また、投資は不確実性を伴うものであり、投資した結果がどうなるかを完全に予測することはできません。

金融商品のリスクやリターンの傾向を正しく理解し、自身の投資目的やリスク許容度に応じてリスクを判断し、リスク許容度に合ったリターンを目指すことが大切です。

 

投資を始める前に-リスク許容度・リスク選好度の把握-

どのような投資先や手法を選んでも、リスクは避けられません。

投資を始める前に、自身のスク許容度・リスク選好度を把握することが大切です。

 

  •  リスク許容度どの程度までのリスクを受け入れられるかの度合いのこと。元本割れや資産の一時的な減少をどの範囲まで許容できるかを明確にする必要があります。

  •  リスク選好度投資リスクをどの程度好むかの傾向のこと。リスクを好む方は、リスクを好まない方に比べ、ハイリスク・ハイリターン商品含めた多くの商品が投資先の選択肢となります。

 

自身のリスク許容度がわからない場合は、診断ツールなどを活用すると、自身の傾向をより客観的に把握でき、適した投資スタイルを見つける助になります。

東海東京証券の「投資ナビゲーター」内にある「ロボアドバイザー」は、投資予定期間や資金性格などの情報を入力すると、最適なポートフォリオを提案してくれるツールです。無料でご利用いただけますので、ぜひお試しください。

 

まとめ

リスクにはさまざまな種類があり、その特徴は商品ごとに異なります。リスクとリターンは、表裏一体です。投資を始める際は、自身の目標と許容できるリスクの範囲を明確にしたうえで、投資資産のバランス(ポートフォリオ)を構築することが大切です。

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