経済イベント・経済指標は、株価や為替相場等の変動要因になるため、投資家にとって非常に重要な情報源です。投資を行ううえで、経済指標への理解は欠かせません。
本記事では、投資初心者に知っていただきたい主要な経済イベントや指標の特徴と、それらが金融市場に与える影響について解説します。経済の基本を押さえて、より賢明な投資判断ができるようになりましょう。
経済指標とは、各国の公的機関が定期的に集計・公表する経済状況に関する統計データです。経済指標は、各国の政策の意思決定を行う際などにも活用されます。
公表された経済指標の結果が市場関係者の予想と大きく異なる場合、金融市場に多大な影響を及ぼすこともあります。
経済の動きを把握し、適切な投資判断を行うためには、主要な経済指標について最低限の知識を持つ必要があります。
以下で解説する経済イベント・指標は、企業業績や景気動向を示すため、投資判断などを行ううえで重要な参考情報となります。
日銀金融政策決定会合は、日本銀行が金融政策や政策金利について討議・決定する会合です。現在は年8回(約6週間ごと)開催され、各回2日間にわたって金融政策に関する議論が行われます。
会合終了後には、日銀総裁が記者会見を行い、決定内容の説明がなされます。この結果は金利や為替相場に大きな影響を与えるため、市場関係者にとって重要な情報源となります。一般的に、金融緩和策の強化や政策金利の利下げの方針が示されると円安・株高の要因となる傾向があり、金融引き締めや政策金利の利上げの方針が示されると、円高・株安の要因となる傾向があります。
日銀短観(全国企業短期経済観測調査)は、日本銀行が実施する企業景況感調査で、日本経済の現状や見通しを把握するうえで重要な指標の1つです。調査は、日本全国の約1万社を対象に年4回(3月、6月、9月、12月)実施されます。景況感や設備投資計画などを調査し、その結果が金融政策や金融市場に大きな影響を与えることがあります。
日銀短観の調査項目のうち、特に注目されるのが「業況判断DI(Diffusion Index)」です。この指標は、企業の経営者が景気の現状や先行きについてどのように見ているのかを示し、企業が自社の景況感を「良い」「さほど良くない」「悪い」の3つから選んで回答した結果をもとに、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を差し引いて算出されます。景気の良し悪しを判断する重要な指標となります。
GDP(Gross Domestic Product)は、一定期間内に国内で生み出されたモノやサービスの価値の合計を示す経済指標で、内閣府が年4回四半期ごとに調査結果を公表しています。国の経済活動の規模や成長状況を把握することができます。国全体の経済の健康状態を測る重要な指標として、金融市場でも大きな注目を集めています。
例えば、前期と比べて経済が好調な場合、経済成長率が高くなるため、株価の上昇に繋がる可能性があります。しかし、GDPと株価は常に相関関係にあるわけではなく、仮にGDPがマイナス成長となった場合でも、将来的な経済回復が期待される局面では株価は上昇する傾向があります。投資家は、市場の先行きを見越して行動するためです。
また、GDPの伸び率に比べ、株価が大きく上昇する場合もあります。これは、株価に海外収益を含む上場企業の実績が反映される一方で、GDPには海外で生み出されたモノやサービスによる収益は含まれないことが関係していると考えられます。
消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)は、消費者が日常的に購入するモノやサービスの値段がどのように変化しているかを示す経済指標で、総務省統計局が毎月公表しています。「経済の体温計」と呼ばれるこの指数からは、物価の上昇や下落の傾向を把握することができます。
消費者物価指数の変動は日本銀行が金融政策を決定する際の基準となることもあり、金融市場においても重要視されます。
鉱工業生産指数は、鉱工業および製造業の生産活動の状況を示す指標で、基準年(指数の基準時は5年ごとに更新され、西暦年数の末尾が0又は5である年)を100として指数化されています。この指数を見ることで、日本経済全体の生産活動の動向を把握することができます。
鉱工業生産指数は経済産業省が毎月公表しており、GDPに比べて公表の頻度が高く更新も早いため、経済動向を迅速に把握するための重要な指標とされています。
指数が上昇している場合、企業の生産意欲が高まっており、景気の拡大局面にあると判断されます。逆に、指数が低下すると生産活動が縮小傾向にあり、景気の後退局面を示唆する可能性があるといえます。
機械受注統計調査報告は、機械製造業者が受注した設備投資用機械の受注額を集計した指標で、内閣府経済社会総合研究所が毎月公表しています。このデータを通じて、企業の設備投資動向や経済活動の先行きを把握することができます。ただし、機械受注統計調査報告のデータは前々月の統計であり、受注額は月ごとの変動が大きいため、当該月の各データのみで経済・景気動向を判断するのは早計です。
なお、機械受注統計調査報告のうち、「船舶・電力を除く民需」は経済動向を示す民間設備投資の先行指標として利用されています。
設備投資が活発であれば、企業の生産能力の拡大を示し、雇用や個人消費にも好影響を与える可能性があります。逆に設備投資が低迷すると、経済の先行き不安が広がり、景気後退につながることもあります。
景気ウォッチャー調査は、地域の景気に関連の深い動きを敏感に感じる立場にある人々(小売業やサービス業の従事者など)2,050名を対象に、景気の現状と先行きについて5段階で評価するアンケート調査です。内閣府が毎月公表しており、地域ごとの景気動向を的確に把握するための重要な指標として活用されています。
アメリカは世界最大の経済大国であり、その経済動向は世界経済全体に大きな影響を及ぼします。アメリカの主要な経済イベント・指標を理解することは、グローバル経済の変化を捉え、適切な投資判断を行ううえで大切です。
FOMC(Federal Open Market Committee/米連邦公開市場委員会)は、アメリカの中央銀行制度であるFRB(Federal Reserve Board/米連邦準備制度理事会)が金融政策を決定する重要な会合です。年8回、約6週間ごとに開催され、政策金利が決定されます。この決定は世界の為替レートや株価等金融市場に多大なる影響を与えるため、世界中の市場関係者から注目されています。一般的に、アメリカの利上げが決定すると、米ドルの金利が上昇し、投資家はより高い利回りを求めて米ドルを購入する(為替がドル高となる)傾向があります。
米雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率)は、アメリカの雇用情勢を示す大変重要な経済指標の1つです。米国労働省労働統計局(BLS)が、農業従事者除く雇用者数を集計します。毎月第1週の金曜日に公表され、公表時刻は日本時間で22時30分(夏時間は21時30分)です。
このデータは、景気動向や労働市場の健全性を把握するための指標として世界的に広く活用されており、同時に公表される失業率は、労働力人口に占める完全失業者の割合を示し、雇用環境の改善や景気の悪化を判断する材料となります。
公表結果は、市場予想との乖離が発生する場合、アメリカの株式市場・為替市場に多大なる影響を与えます。
アメリカのGDP(国内総生産)は、米国商務省経済分析局(BEA)によって四半期ごと、年4回公表されます。経済成長率を示す重要な指標として、金融市場や政策決定に大きな影響を与えます。
ISM製造業景況指数は、米国サプライマネジメント協会(ISM)が公表する、アメリカの製造業の景況感を示す重要な経済指標です。アメリカの製造業約350社の購買者を対象にアンケート調査を行い、その結果を基に算出されます。
アンケートでは、新規受注、生産、雇用、入荷遅延、在庫等の各項目について「良くなっている」「同じ」「悪くなっている」の3つの選択肢から回答を得て、結果を0~100%の数値で表します。一般的に、50%を上回ると景気拡大、下回ると景気後退の兆しと判断されます。
ISM非製造業景気指数は、アメリカの非製造業の景況感を示す重要な経済指標です。米国サプライマネジメント協会(ISM)が非製造業約375社の購買担当者に対してアンケートを実施し、その回答結果を集計して算出されます。
アンケートでは各項目について「良くなっている」「同じ」「悪くなっている」の3択で評価されます。指数は0~100%で表され、米ISM製造業景気指数と同じく50%を上回ると景気拡大、下回ると景気後退の兆しと判断されます。
この指数は米国労働省の雇用統計公表の前後に公表されることから、雇用動向の先行指標としても注目されています。
アメリカの消費者物価指数(CPI)は、アメリカ国民が日常的に購入するモノやサービスの価格変動を示す重要な経済指標です。米国労働省労働統計局(BLS)が毎月公表し、物価の動向を通じてインフレや経済の健全性を把握する際に広く活用されています。
消費者物価指数には、全ての商品やサービスを含む「総合指数」と、価格変動の激しい食品およびエネルギー価格を除いた「コア指数」の2種類があります。一般的に、消費者物価指数の上昇はインフレ進行の兆しとされますが、低下した場合でも必ずしもデフレを示すわけではなく、一時的な物価変動や特定要因の影響を考慮する必要があります。
アメリカの小売売上高は、小売業の売上高を集計した指標で、アメリカの個人消費の動向を示す重要な経済指標の一つです。米国商務省センサス局(USCB)が毎月公表しています。米国のGDPに占める個人消費の割合は約7割と高く、消費動向が経済全体に大きな影響を与えるため、特に注目されています。
小売売上高の増加は、消費者の購買意欲が強まっていることを示し、経済の好調さを表します。一方で、減少している場合は消費の冷え込みが懸念され、景気動向の変化を示唆することがあります。
世界経済の動向を把握するうえで、日本やアメリカ以外の経済状況の把握も重要です。ここでは、ユーロ圏における代表的な経済イベントを解説します。
欧州中央銀行(ECB)の政策理事会は、ユーロ圏の金融政策を決定する最高意思決定機関です。6週間ごとに開催され、ユーロ圏の経済や物価動向を考慮しながら、政策金利の水準や量的緩和策などを決定します。会合後には声明文が公表され、政策の詳細や経済見通しが示されます。
東海東京証券では、主要な経済指標の最新情報を一覧で確認いただける専用ページをご用意しています。市場の動きを的確に捉えるための便利な機能が充実しており、投資初心者から上級者までどなたでも無料でご利用いただけます。ぜひご活用ください。
経済イベント・指標は、株価・債券価格・為替レートなど金融市場全体に大きな影響を与える重要な要素です。投資家にとって、経済指標の情報を効率的に把握することは、適切な投資判断を行うために欠かせません。
東海東京証券では、ブログやメルマガを通じて、各種投資に関する情報を提供しています。投資初心者向けの情報も随時更新しているため、メルマガ登録を通じて、より深い知識を身につけることをおすすめします。ぜひ、東海東京証券のブログやメルマガをお役立てください。