投資初心者の方は、つい感情に流されてしまったり、周囲の意見に振り回されたりして、適切な判断が難しいことがあります。
投資で大きな失敗を避けるためには、あらかじめよくある失敗例を理解し、対策を講じることが重要です。
そこでこの記事では、初心者の方が陥りがちなミスと、それを防ぐための基本戦略などを紹介します。
「投資の目的がはっきりしてない」「感情に流された投資判断をしてしまう」など、投資に慣れていない方が陥りがちな失敗には一定のパターンがあります。ここでは、さまざまな失敗の種類とその対処法を紹介します。
投資初心者の方の多くは、具体的な目的や目標を設定せずに投資を始めています。漠然とした動機しかないため、周囲の意見に流されやすくなり、損失を被るなどの失敗してしまう可能性が高くなります。
投資を始める際には、「なぜ投資をしたいのか」「投資によってどのような未来を目指したいのか」を明確にすることが大切です。
なぜなら、「老後資金を確保したい」「自由に使える小遣いが欲しい」「FIREしたい」など、投資の目的やその目的を実現するまでの期間によって、必要な金額や運用期間が変わるためです。
「30年後の老後のために1,000万円用意したい」という方がいるとしましょう。この場合、30年という長期的な視点で資産を増やせばよいので、短期的な利益を狙った売買に振り回される必要はありません。
目的や目標が明確でないと、投資スタイルが定まらず、安易な判断をして資産が目減りするリスクも高まります。投資を始める前に、しっかりと目標を定め、自分に合った投資スタイルを見つけることが、成功への鍵です。
なお、目標を達成するための必要額や達成時期をシミュレーションするために、東海東京証券では「投資ナビゲーター」を導入しています。ライフプランの確認からそのプランに適した資産運用や見直しまで、すべてをサポートします。どなたでも無料で利用することが可能なので、ぜひこの機会に利用してみてください。
投資の知識や経験が浅い方は、話題性やイメージに惑わされやすいものです。SNSで有名な投資家の発言や、メディアで取り上げられた話題の銘柄に飛びついていないでしょうか。
こうした銘柄は必ずしも長期的な成長が期待できるわけではありません。有名人の発言を鵜呑みにしたり、人気の企業だからといって安易に投資するのは危険です。
例えば、有名投資家の発言や話題の銘柄に一斉に飛びつく「イナゴ」と呼ばれる投資家がいます。確かに影響力のある有名人の発言は一時的に株価を上げるかもしれませんが、多くの人が一斉に買いに走ることで、結果的に価格が上昇し、高値で購入するリスクがあります。
また、このような企業のイメージや知名度だけでなく、業績や成長性をしっかりと考慮する必要があります。一時的な人気に惑わされず、企業の収支や成長性、株価水準などを冷静に判断することが重要です。
資産を着実に増やすためには、企業の事業内容やビジネスモデル、業界の動向、財務状況などを総合的に分析し、冷静な投資判断を心がけることが大切です。
自分の価値観に基づいて「応援したい企業」を選ぶ場合も注意が必要です。企業のストーリーや理念に共感して投資したとしても、業績が振るわない場合や将来の見通しが良くない場合など、様々な要因で株価が下落し、損失が拡大する可能性があります。
近年では、環境問題解決などを目指すSDGs関連企業が注目されていますが、実際の業績や財務状況に対して株価が割高で推移している場合も少なくありません。将来の市場環境や業績の期待が先行して株価が高騰し、その後、業績の停滞や相場環境の変化によって急落するケースもあります。
応援したいという感情だけでなく、業績や事業の成長性など、客観的な評価を基に投資判断をすることが大切です。
「投資」と聞いて一攫千金を夢見てしまう人もいるでしょう。投資インフルエンサーなどの言葉を信じて、一時的に人気がある銘柄や成長期待が高い企業に集中投資すれば、大きな利益が得られると思うかもしれません。
しかし、特定の銘柄や資産クラスに資産を集中させることは、同時にリスクも高まり、その銘柄のリスクが表面化した場合、大きな損失を被る可能性があります。
投資には、「卵は一つのカゴに盛るな(Don't put all eggs in one basket)」という格言があります。カゴを落とすと全ての卵が台無しになってしまうため、「リスクは分散させることが重要だ」という意味です。元々リスク許容度が高く、高いリターンを得るために大きな損失を被るリスクを負っているという方以外はリスクを軽減させるためにも、金融商品は株や債券、その他の資産に分散投資することが大切です。
投資で成果を出すには、感情をコントロールすることが重要です。しかし投資初心者の方は、市場の変動やニュースに影響され、冷静な判断が難しくなることがあります。
例えば、株価が急激に下落して不安になり、これ以上の損失を防ぐため、売却してしまう方は少なくありません。しかし、企業の実質的な価値に変化がなければ、むしろ「安値で買い増す好機だった」とも考えられます。
逆に、株価が大幅に上昇したとき、「今買わなければ」と焦って高値で買い増し、損失を被ることもあります。
感情に左右されて売買を行うと、投資の目的や戦略から逸れてしまいます。市場の動きに振り回されず、冷静に状況を分析し、中長期的な視点で判断することが大切です。
こうした失敗を避けるためには、あらかじめ自分のルールを作ることが有効です。例えば、価格変動に関係なく定期的に積み立てる、あるいは事前に決めたリターンや損失額で売却するなどの方法があります。
投資初心者の中には、欲を出しすぎて適切なタイミングで利益確定や損切りができないことがあります。また、「ナンピン買い」などの手法に頼りすぎて、結果的に大きな損失を被ってしまうケースも少なくありません。
例えば、株式で一定の利益が出たときに、「もっと利益を伸ばせるかもしれない」という欲から、利益確定のタイミングを逃してしまうことがあります。しかしその後、予想外の株価下落に見舞われ、得た利益が一気に消失することも起こり得ます。
「ナンピン買い」とは、平均購入単価を下げる目的で、株価が下がった場合に追加購入する手法です。株価が反発すれば大きな利益を得られる可能性がありますが、株価がさらに下落し続けた場合、損失が一層拡大するリスクがあります。
投資では冷静な判断力を保つことが重要です。「インデックスファンドの長期投資では複利効果を期待して積立を続ける」「個別株投資では利益確定や損切りを適切に実行する」など、自分のルールを確立しましょう。
投資に対して計画性や自分のルールが定まっていないと、初心者の方は「余剰資金で行う」という投資の基本原則を逸脱してしまう傾向があります。生活費を投資に回してしまい、最悪の場合、日常生活に支障を来す危険性も考えられます。
生活資金に手を出すと、冷静な投資判断が難しくなりがちです。資金が減少すれば精神的に追い詰められ、焦って売却するなど、最適な利益確定のタイミングを逃してしまうこともあるでしょう。
投資は生活資金とは明確に区別し、余剰資金で行いましょう。また、生活資金に手をつけなければならないようなリスクの高い投資には慎重になるべきです。
投資初心者の方が陥りがちなミスを回避するためには、事前にその典型的な失敗を理解し、適切な対策を講じることが重要です。ここでは、「投資初心者が成功するための基礎」を築くためのアドバイスを紹介します。
投資で最も大切なのは、自分のリスク許容度を正しく理解することです。リスク許容度とは、資産価値の変動に対してどの程度のリスクに耐えられるかを示す指標で、年齢、収入、保有資産、投資経験などの要素によって異なります。
例えば、20代の単身者であれば、仮に資産が50%減少しても、将来の収入で取り戻す時間があるため、リスクを取る余裕があることが多いでしょう。一方、50代で子どもの教育費がかかる家庭では、資産が5%減少するだけでも家計に大きな影響を与えるため、リスク許容度は低くなる傾向があります。
そのため、まずは自分のリスク許容度を把握し、それに応じた金融商品や運用手法を選ぶ必要があります。リスク許容度が低い場合は安全性の高い資産に投資し、高いリスク許容度を持つ方は、高いリターンを求めて、高いリスクを許容する投資を行うことも可能です。
投資における「リスク」とは、資産価値が期待通りにならない可能性、つまり資産の価格が上下に変動することを指します。リスクを抑えるためには、「長期投資」「積立投資」「分散投資」を意識することが重要です。これらの手法により、リスクを適切に管理しながら、安定した資産形成が目指せます。
長期投資の大きなメリットは、複利効果によって資産が時間とともに増える可能性がある点です。複利とは、投資で得た利益を再び投資し、それが元本に加わるという仕組みです。時間が経つほど、この効果は大きくなります。
例えば、毎月3万円を年3%の利回りで運用すると、10年後と30年後では次のような結果になります(金融庁『つみたてシミュレーター』を利用)。
30年間運用することで、10年間と比べて1,300万円以上の差が生まれます。市場の短期的な変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を続けることが、初心者でも複利効果を活用するカギとなります。
しかし、長期投資でも投資先によっては、損失を被る可能性があります。例えば、個別株の中には、10年単位で見て値上がりしていない株式も少なくありません。そのような株式に投資をすると複利効果を享受できず、大きな損失に繋がる可能性があります。長期的に成長が見込める投資先を吟味しましょう。
積立投資は、価格変動リスクを抑えるのに有効な投資方法です。特に「ドルコスト平均法」で積み立てることで、一括投資に比べ、安定的な投資を実現しやすくなります。
ドルコスト平均法の特徴は、定額で金融商品を購入し続ける点にあります。例えば、毎月5,000円ずつ積み立てる場合、市場が下落しているときには同じ金額でより多い量を購入し、逆に市場が上昇しているときには少ない量しか購入しません。この仕組みによって、投資金額が一定であればあるほど、価格変動に対するリスクを分散でき、結果的に取得価格を平準化する効果が期待できます。
ドルコスト平均法を取り入れることで、短期的な株価の上下に惑わされず、長期的な視点での資産形成がしやすくなります。
しかし、長期投資同様、長期的に上昇しない投資先に投資をしている場合は、損失を被ることになりますので、一括投資に比べてリスクは低いものの、損失のリスクを完全に抑えられるわけではありません。
1つの銘柄に集中投資をすると、その商品の価格変動が資産全体に大きな影響を与えます。しかし、複数の銘柄や資産クラスに投資することで、個別のリスクを相殺し、全体のリスクを抑えられる可能性が高まります。これが分散投資の基本的なメリットです。
分散投資はリスクを管理するだけでなく、収益機会を広げる点でも優れています。特定の銘柄に集中投資すると高リターンが期待できる反面、大きな損失リスクも抱えます。一方、分散投資をすることでリスクを抑えつつ、安定したリターンを得られる可能性が高くなります。
投資初心者にとって、分散投資は最も基本的で重要な運用手法といえます。個別銘柄の価格変動に惑わされることなく、長期的な視点で資産形成を進められるでしょう。
一方で、分散投資は集中投資に比べ、大きなリターンを期待しにくい傾向があります。また、相場暴落時などは、多くの銘柄や資産クラスが同時に下落する可能性があります。これらのリスクを考慮しながら、自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、投資額や分散手法を設定しましょう。
企業の経営状況や財務情報に加えて、市場環境や業界の動向を把握することも投資には欠かせません。「木を見て森を見ず」にならないためにも、マクロな視点とミクロな視点の両方から情報を収集することが大切です。
投資初心者の方にとって、市場や業界動向を自分で調査するのは難しいかもしれません。まずは、書籍やWebサイトで基礎知識を学びましょう。その後、投資セミナーへの参加や、専門家が発信するSNSやメルマガの活用も効果的です。
投資初心者の方が陥りやすい失敗は多岐にわたります。知識や経験が不足していると、周囲の情報に振り回され、冷静な判断ができなくなることが少なくありません。慎重に計画を立てて投資を始めることが大切です。
上記のような失敗をできるだけ防ぐには、「長期・積立・分散」投資を基本にするとよいでしょう。長期的な視点で投資を続けることで、複利の効果が期待できます。また、ドルコスト平均法を活用した積立投資や、さまざまな資産に分散投資することが、リスクを抑えやすくなります。しかし、どのような投資方法であっても、損失のリスクや失敗を完全に無くすことはできません。リスクを考慮しながら、自身の投資目的やリスク許容度に合った投資を行うことが重要です。
また、企業の業績情報だけでなく、市場全体や業界の動向を把握することも重要です。専門家のアドバイスや最新の投資情報を積極的に収集することで、より適切な判断ができるようになります。
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